ネバーエンディングストーリー

というか正確には「はてしない物語」のなにが好きかというと、例の本が読めば読むほどページが増えていく、つまりいつまで読んでも終わらないというアイデアが好き。「終わらない感覚」というのが、すごく良いなあと思うのです。そういう嗜好の持ち主って珍しいのだろうか?
僕が、高校時代に読んだ「大地」が好きなのも、放送時は寝不足になってしまう「24」が好きなのも、いずれ爺臭く引き蘢れる時間ができたら「大菩薩峠」を読み続けたいなあと思うのも、全部その終わらない感覚が根っこのところにあるような気がする。小説とかね、極端な話、長いことに価値がある場合ってあると思うのです。「重力の虹」とか。むかしちょっと読んで、そのうち忙しくなって放置してるけど、まだまだあの本は先が長いぜーー、ってことを考えて勝手に少し幸せだったりする。あと「ユリシーズ」とかまるまる残ってるなあ、いずれ読めるんだろうか。そういえば昨日はブルームズデイだっけ?
人間関係とかもね、仕事とか恋愛とかなんでもそうだけど、ネバーエンディングな感覚が欲しかったりする。ささやかな幸せなんてことを今さら求めるとしたら、たぶん僕の場合はそこらへん。だけど実際は、ネバーエンディングってことは物凄く難しいし、そもそも弊害も大きいよなという実感もある。なんというか、溺れて抜け出せないというか。始まりがあれば終わりがあって、離別や断念や撤退があることを割り切ってトライ&エラーしてくしかないよねという気持ちがあって、年々それは自分のなかで増してるかなあと思う。切なさと混じりあいながら。
だからなにというわけじゃないけど、WEBでダラダラと記事を眺めまくって、もしかするとここには擬似的であってもネバーエンディングストーリーがあるんだなあと思って、ふと感傷的になった。さらに呟くと、PCとインターネットの組み合わせは過去最高のデキのおもちゃなわけで、こんなので日々仕事をするなんて、どこかにムリがある。