組織には時間がかかる

僕がKOMPOSITIONという団体をつくってわかったことの一つは、
よい組織を作ることがいかに時間のかかることで、地道な忍耐の積み重ねかということです。


誰しも、一日の終わりにベッドに入っていざ寝ようという時に、その日にやったこと
――仕事でも勉強でもプライベートでも――を思い返したことがあると思います。


そして「……もしかして全部あわせても2、3時間でできたんじゃないか」と、
自分の一日の密度の薄さに愕然としたことがあると思うのです。


よい組織をつくるのはそれに似ているように思います。
つまり、数日・数週間でできそうなことが、数年間かかったりする。


僕はそういう事態をときどきすごく不思議なものに感じます。
が、それが現実だとも思っています。
シンプルで本質的なことには、時間がかかる。


よい組織がなぜ必要かといえば、
よい活動を生み出すために、維持するために、発展させるために、
必要だからです。


「よい」というのがどういう定義かをあまり気にせず書きますが、
僕が感じるに、よい組織には多くのよい活動があります。


それらのよい活動には考え抜かれた目的があり、
それらの目的は組織の理念で一つにつながっています。
そして理念は組織の存在意義そのものとつながっているのです。
よくよく調べると、そうなっています。


ですから、よい活動をつくるにはよい組織を作れば近いはずなのです。
ところが、よい組織をつくるためにはよい活動が必要です。


というのは、活動がはじまるまで組織というものを実感しづらいからです。


組織の「よさ」というのは、
なんらかの存在意義のもと理念をつくり、
仲間を募り役割分担を定め、
理念を紐解いたときに生まれる目的のために活動をつくるまで、
存在しているんだかいないんだかわからないからです。


だから、いじりようがない。


そういったわけで僕は組織を作ろうにも活動から始めるしかなかった。


なので、活動をしつつ、
そのフィードバックを延々と組織の改善に積み上げていかないとアカンかったのです。
アクセルを吹かしながらブレーキを踏まなければならない。
これが難しい。


いくら活動しても組織がきっちりしていないと活動は続いていかない。
そのくせ、活動そのものは一人歩きをはじめて、組織作りを悩ませることもある。
なんかすごく、アンビバレントなのです。


結局、僕のやってきたことは、
組織がしっかりしていない状態で活動をはじめ、
活動しながらその目的を掘り返し続け、
その深層にある理念のかけらを集めて、
仲間に伝えようともがいてもがいてなんとか組織を少し形作り、
活動しながら目的を……
という繰り返しです。


その間、活動する目的のブレを感じたり、
そもそも活動だけで手一杯になったり、
理念が中途半端に感じながらその先が見えなくて悩んだり、
そういう違和感に耐えながらやってきた。


プレゼンの席など、口ではまとまった説明をしているけれど、
自分の中では違和感を感じていることも多々ありました。


そういう期間が短く見ても4年強、長く見積もれば5年半ほどかかっています。
正直、なんでこんなにかかるのか、と呆れる自分がいます。


先日、KOMPOSITIONの理念を


表現者に、外部に開かれた活動場所を提供すること」


と改定しました。


もちろんこの理念もいずれ変わるでしょう(細かい部分は毎週のように変更してますし……)。


が、前から似たようなことをたくさん言ったり書いたりしていたわけですが、
この短い一文は今までの饒舌な類似文とは違うような気がしています。


そしてこれからしばらくは、
この理念を自らどれだけ尊重できるか、
自分の仲間にどれだけ伝えることができるか、
ということのために努力していかなければいけないと感じています。


僕が思うに、組織を作るということはつまりそういうことだ、
というお話でした。