ゼロサムと遊びと仕事
ゼロサムというのは、要するに足したらプラスマイナスゼロになるってことですが。
ゼロサムってわかりやすいけど、つまらないと思うのです。
ゼロサムに見えるけど、実はそうでないものになにかしらの価値が隠れていると思うのです。
例えば、遊びと仕事ってのは一般に相容れないもので、
仕事を長い時間しなきゃいけないほど、遊びの時間は短くなるものと相場が決まっております。
そういうとき、
1日24時間=仕事時間+遊び時間+睡眠時間+その他の時間(移動とか風呂とか)
という式がみんなの頭によぎっておるわけです。
ところが、WEBメインのあるクリエイティブ系の会社*1にお伺いして、そうでもないらしいという気がしました。
なにかというと、仕事中にお伺いしたら、社員がどう見ても遊んでおるのです。
なんかえらく気合の入ったFLASHゲームをつくっていたり、技術の無駄遣いというか趣味の延長みたいなことしてるわけです。職場で。仕事時間に。
もう、びっくりしちゃって「なにこれ?儲かるの?」って伺ったら「わからん」と。
「わからん」ってどうやねんと思って突っ込んで聞いていくと、要するに現時点では儲かってなくて、自分達が好きで面白いからいじってるんだと。
でも、いずれこのサービスを買ってくれるクライアントが出るかもだから「わからん」のだと言うわけです。実際、売込み中で良い感触だとか。
もちろん、彼らもときどきはいわゆる仕事をしてるわけです。確実に儲けるために。
でも、その確実に儲ける案件をできるだけコンパクトにやって、
それが終わったら遊んでるんだか働いてるんだかよく分からんその楽しそうなことに没頭してらっしゃる。
その様子を見たとき、遊びと仕事がノットゼロサムになろうとしてる瞬間を見た気がしました。
で、これは凄いと思った。
でも、僕の仕事に持ち込むことはできないんですね。なぜなら、僕のとこの仕事は、
技術系ではない
からです。つまり、デザインとかプログラミングみたいな高付加価値の技術職でないと、そういうやり方での遊びと仕事のノットゼロサムは難しい。*2
それで、ずっと悩んでいて、思いついたことがありまして、それは、
自分が遊びだと思うが、他人は仕事だと思うこと
があるのではないかということです。そうすると自分としては遊んでるだけなのに、世の中的には仕事ができてる、そういうノットゼロサムの状態が生まれる。
仕事の時間が増えるほど、遊びの時間が増える。
まるで、Mの野郎が女王様にビシバシと鞭でぶたれて、
めっちゃ幸せ
になれる、みたいな話ではありますが。
で、最近はかなり意識して、
自分にとって遊びのような仕事のような範囲を見定めてそれだけやるようにしてまして、けっこううまく行ってる気がします。
実はそれって、自分が疑いなく仕事をしている瞬間をなくそうということでして、
全く仕事できない子だという不安を解消できなくなることでもありますので、自尊心とか全能感みたいなのは失われるかもしれません。
というか、吹いて飛びました。
で、辛いのですけど、最近はそれでも良いのではないかと思うようになりました。
もちろん、こういうことは
良い仲間
=遊びのような仕事のような範囲が被らない仲間
が居て、つまり自分一人ぼっちでないからできることでありますが、
周りの人間が、自分の遊びのような仕事のようなことしかせずに
それでいて全体としては第三者から見てきっちりと仕事ができてしまう、
そういうゼロサム超えの理想郷、どうやらその地は遠くない。
これは世の中の仕事人を幸せにするコツみたいなものに違いないと思うのですが、どうなんでしょう。*3