アートは心のためにある

ここ1週間ぐらいバタバタしてまして。いろいろ書きたいことがあるんですが、今日はその間のことから1つだけ。なにかというと。

シンポジウム「企業ブランディングにアートを活かす」

UBS証券さんからご招待いただき、シンポジウムに行ってきました。

内容だけど、UBSはスマート。プレゼン内容も、そもそものアートを活用するロジックの組立てとかも。で、ベネッセは逆。福武会長のプレゼンは訥々としてて、UBSがコレクションを世界に巡回できるようにして費用対効果に優れているのに対して、ベネッセの直島はどこにもいけなくて非合理だったりとか、一時が万事そんな感じなの。

だけどその一方で福武さんはパンクというかロックンロールというか、自分の反骨精神をアートに託してる感じで、すごく思想や哲学がその行動にこもっている感じでした。直島で日本から独立、とか言ってたりしたよ。それで2者を比較して思ったのは、海外と日本じゃまだまだアートを取り巻く環境が違うんだろうなあということ。

UBSのプレゼンテーションは素晴らしかったけれど、福武さんほどの情熱は感じられなかった。逆にいうとそこまでの情熱がなければ日本でアートに関わるなんてこたぁないということであり、海外ではアートは日常的なもので熱意を注ぎ込むことにはもはや、特に焦点があたらないぐらいになってるんだ。要するにそれって「アートなんて日本には根付いてない」っていう示唆だと思ったわけ。

それからもう一つ面白かったのは、UBSのプレゼンターがディスカッションの最後のほうで、「アートは質」って文字通り吼えていたこと。その直後に、ローカルアーティストをコレクションに加えてくれというリクエストがいつもコミュニティから出て大変だ、って言ってたから、つまり「ご当地のアーティストだから良い」なんて結論は許されないんだってことを彼は言っていたわけです。

その点について、僕はもう全く同意というか、最近それはすごく重要なことだと思っていて。「アートが質」でなければ、アートなんて寝言みたいにスカスカだ。だけど「アートが質」なんて思っている人はなかなかいない。もちろん美大やらなんやらにはいるだろう。でも、いわゆる街場で僕はほとんど見たことがない。それは近所の小学生が描いた○○アートの数だけ、実証されていて、どちらかといえばそれが世の中ということなんだ。そういうことについて、根本のところからアクションしていかないとなにも変わらないんだと思います。

それで僕としては、じゃあUBSのような外資系の企業がアートを考えるとき、この日本でなにをするのか、ということにすごく興味が湧くわけです。他の場所でそうするように、アート好きにコレクションを紹介する、というだけで済ますつもりだろうか。たぶん彼らとしてはそうするしかないんだけど、それだけでは上っ面じゃないか、というのが僕の率直な感想だったりする。というわけで今後に注目していきたいと思います。

と、非常に知的興奮の多いシンポジウムでした。この場を借りてUBS証券様に御礼申し上げます。

アートは心のためにある