創造性と悪ノリと

国士舘大学に呼んでくださった工藤女史たちと講義後にお話させていただきました。
それで、まちおこし流行りのなかでアートが注目されたり、
もっと広く日本経済のなかで創造性が大切だ、とかよく言われるねという話になり。
けっきょく、クリエイティビティってなんなんだろうという雑談になりました。


クリエイティブってよく言うけど、実際はなんだかわからない。
ただ絵を描いたりデザインしたり映像を作ったりしても、それはクリエイティブって
言葉の一部なんじゃないかと思う。
それで僕が思ったことは、クリエイティブの根本にある価値観というか、
本質的な軸がなにかを考えなきゃいけないんじゃないかなあと。


その軸というか価値観というかにいくつかある気がしていて、
一つは職人性というか緻密さ・精細さへの変態的執着がある気がする。
絵でも陶芸でも、ものすごーく細かい幾何文様の書き込みとかは、
そういう軸の、つまりこれは一つのクリエイティビティのパターンなんじゃないかと。
重心が完全に中心にある砲丸(埼玉某工場の超絶技術おっちゃんしか作れないとか)、
ミクロン単位のネジ制作工場とか、同じ系列だと思うんです。
日本においては、古き良き職人芸と繋がっている。


それで、もう一つは、悪ノリ・悪ふざけと言えるような価値観。
グラフィティやストリートアートなんかは典型的にそうだし、
ヨーロッパの現代アートの土台になっている(と個人的に思う)スクワット、
つまりアーティストによる建物の不法占拠からはじまるアート活動もそうじゃないか。
日本はそういう「悪ノリ」クリエイティビティを作っていくのが下手だった感じがするし、
いまからはその補完が大切なんじゃないかなあと思ったりします。


それで、つまるところChim↑Pomさんの近年の活動や作品とかは、
ある種の典型的悪ノリだよなあと思ったりして。そういう観点からも頑張っていただきたいし、
彼らが認められることは意味があるだろな〜と思いました。
ご本人達は別にそんなのどうでもいい、ぐらいに言うだろうけど。
日本でもMTVでジャッカスが人気を博したとか、そういうことが底上げに繋がってるのかな。
ただ、ストリートにいた人が、Chim↑Pomさんみたいな出口に先に至らなかったのはちと残念だけど。


まあそういうことを、この前btf shopのトークショーに行ったこともあって思いました。
Chim↑Pom http://www.mujin-to.com/chimpomartwork.html
btf shop http://www.shopbtf.com/